はじめに
私たちグループHiRAC は,大阪府を拠点とするコンクリート製造に関わる工場の若い技術者が中心となって2003年6月に結成しました。
今やコンクリート構造物は,社会のいたるところに存在します。
我が国最古のコンクリート構造物は、1903年7月に完成した,「本邦最初鉄筋混凝土橋」であり、現在も供用開始時とかわらぬ姿をとどめ,多くの人々に利用されています。
第二次世界大戦後の1949年11月には,日本初の生コン工場が東京に誕生し,1953年11月には,日本工業規格『JIS A 5308レデーミクストコンクリート』が制定され,生コンJIS表示認定工場が増加しました。
昭和から平成にかわる頃,コンクリートの耐震性や耐久性が重要視され,鉄筋を細かく配置する設計が増えてきました。
このため,施工側は生コン工場にやわらかいスランプを求めましたが,設計側は,所要スランプを得るための単位水量を小さくするよう要求しました。
このような背景から,小さい単位水量で所定スランプが得られる“高性能AE減水剤”が開発され,施工側と設計側のギャップは,ある程度解消しました。
現在では,環境に対する規格の整備や,循環型社会に対応した製品の開発にシフトされつつあります。
これらの変化に対して,生コンを供給側が十分対応してきたのか,大変疑問です。
技術管理ソフトの入力方法だけをマスターし,配合論理を十分に理解していない 技術者が,実際に存在しているからです。
文字通り生コンは,“半生”状態であり,その状態が時々刻々変化するため,運搬時間が1.5時間を超える地域には供給できません。
一方,建設現場では,特に工期の問題から,計画時間内で型枠にコンクリートを納めることを重要視して作業を進めています。
特に都心部の生コン工場は,交通渋滞を配慮しながら,現場の打込工程に余計な待ち時間をつくらない配車を行うよう心血を注いでいます。
つまり,品質は工程で作り込むという行為を軽視し,生コン配送のみを重要視する生コン会社も存在しています。
この種の生コン会社では,品質管理を行う部署に,必要な検査を実行させるだけでなく,材料を混錬したあとのすべての責任を負わせるという,奇妙なシステムで操業しています。
生コン業界は,先人が汗水をながして作り上げた“ものづくりの原点”をないがしろにし,見かけ倒しの作業集団を作り上げてしまったのです。
レディーミクストコンクリートは,『半製品』で納入し,一定期間を経過したあとに最終製品となったあと,強度を確認して合否判定をおこないます。
このためレディーミクストコンクリートの製造者は,最終製品に裏付けされた自信と技術倫理に基づいた説明力が必要であり,自律協調生産体制を確立しなければなりません。
“コンクリートに対する信頼”と“ものづくりに携わるものの躍動感”を取り戻すために,私たちグループHiRACは,『直行現場』・『直接現物』・『直視現実』を行動指針として,成し得ることに全力を注ぎます。
今,我々HiRACは,“若い力で明日を切り拓く”活動をしています。
2008年6月